【限度額適用認定証後期高齢者】について

「限度額適用認定証」は、医療機関等の窓口で提示することで、ひと月の医療費の自己負担額が、所得区分に応じた上限額(自己負担限度額)までとなるものです。
特に、後期高齢者医療制度に加入されている方(原則75歳以上の方、または65歳以上で一定の障害があると認定された方)にとって、急な病気や入院などで医療費が高額になる場合に、経済的な負担を軽減するために非常に重要な役割を果たします。この認定証があることで、医療機関の窓口で支払う金額が最初から上限額までとなり、高額療養費として後から払い戻しを受ける手間が省けます。

◆ それは何ですか?(What is it?)

後期高齢者医療制度における限度額適用認定証とは、加入者一人ひとりの所得区分に基づいて発行される証明書です。
これを医療機関や薬局の窓口で提示することにより、同じ月内(月の1日から末日まで)にかかった保険診療の医療費の自己負担額が、事前に定められた所得区分に応じた上限額(自己負担限度額)を超えることがなくなります。

つまり、本来であれば窓口で一旦全額(または3割などの自己負担割合分)を支払い、後から高額療養費制度を使って超過分を払い戻してもらうところを、この認定証があれば最初から上限額だけを支払えば済むようになる、ということです。

なお、低所得者(住民税非課税世帯)の方については、医療費の自己負担上限額の引き下げに加え、入院時の食事代や居住費(療養病床に入院した場合)の標準負担額も減額される「限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されます。これも広義には「限度額適用認定証」の機能を持つものと言えます。

◆ なぜ必要・便利ですか?(Why is it needed/useful?)

この認定証が必要・便利な最大の理由は、高額な医療費が発生した場合の経済的な負担を軽減し、かつ窓口での支払いをスムーズにするためです。

  • 一時的な高額負担の回避: 入院や手術などで医療費が高額になる場合、認定証がないと窓口で多額の自己負担分を支払う必要があります。認定証があれば、支払い能力に関わらず、所得に応じた上限額までの支払いで済みます。
  • 払い戻し手続きの省略: 高額療養費制度による払い戻しは、申請から実際に支給されるまでに時間がかかります。認定証を使えば、この手続きと待ち時間が不要になり、家計への影響を最小限に抑えられます。
  • 安心感: いつ病気や怪我をするか分かりません。特に高齢になると医療を受ける機会が増える可能性があるため、あらかじめ認定証を取得しておくことで、いざという時の経済的な不安を軽減できます。

◆ どこでもらえますか?(Where do you get it?)

限度額適用認定証(または限度額適用・標準負担額減額認定証)は、ご自身が加入している後期高齢者医療制度の運営主体である、お住まいの市区町村の担当窓口で申請し、交付を受けます。

  • 申請窓口: お住まいの市区町村役場や支所などの、後期高齢者医療制度の担当課(例: 医療保険課、健康福祉課など)
  • 運営主体: 都道府県ごとに設置されている「後期高齢者医療広域連合」が制度を運営していますが、申請や窓口業務は各市町村が行っています。

原則として、申請はご本人または同一世帯員が行います。代理人(別世帯の親族やケアマネージャーなど)が申請する場合は、委任状や代理人の本人確認書類が必要になることがありますので、事前に市区町村の窓口に確認することをおすすめします。

◆ いくらくらいになりますか?(How much does it save/involve? – Referring to the limit amounts)

ひと月の医療費の自己負担上限額(自己負担限度額)は、加入者の方の所得区分によって異なります。主な所得区分と自己負担限度額は以下の通りです。これは医療費の総額(10割分)ではなく、自己負担割合(1割、2割、3割)をかけた後の金額に対する上限です。

【所得区分と自己負担限度額(令和4年10月改正後)】

  • 現役並み所得者Ⅲ(課税所得690万円以上)
    • 外来+入院(世帯ごと): 252,600円+(医療費総額-842,000円)×1%
    • 多数回該当(過去12ヶ月以内に3回以上上限額に達した場合): 140,100円
  • 現役並み所得者Ⅱ(課税所得380万円以上690万円未満)
    • 外来+入院(世帯ごと): 167,000円+(医療費総額-557,000円)×1%
    • 多数回該当: 93,000円
  • 現役並み所得者Ⅰ(課税所得145万円以上380万円未満)
    • 外来+入院(世帯ごと): 80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%
    • 多数回該当: 44,400円
  • 一般(上記以外の課税所得がある方、または被扶養者だった方)
    • 外来(個人ごと): 18,000円
    • 外来+入院(世帯ごと): 57,600円
    • 多数回該当(世帯ごと): 44,400円
  • 低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯で低所得者Ⅰに該当しない方)
    • 外来(個人ごと): 8,000円
    • 外来+入院(世帯ごと): 24,000円
    • ※入院時の食事代・居住費も減額されます。
  • 低所得者Ⅰ(住民税非課税世帯で世帯全員の所得が一定基準(公的年金等控除額+80万円)以下の方)
    • 外来(個人ごと): 8,000円
    • 外来+入院(世帯ごと): 15,000円
    • ※入院時の食事代・居住費も減額されます。

重要な注意点:

  • 上記の金額は、保険が適用される医療費(自己負担分)が対象です。差額ベッド代、食事代(低所得者を除く)、先進医療、保険適用外の治療やサービスなどは対象外です。
  • 限度額は、原則として医療機関ごと、入院・外来ごとに計算されます(ただし、同じ医療機関であれば入院と外来を合算できる場合や、薬局分を合算できる場合があります。また、世帯内で複数の後期高齢者医療制度加入者がいる場合は、合算できる場合があります)。
  • 外来の限度額は個人単位ですが、入院を含む場合は世帯単位で合算した金額に対して限度額が適用されます。
  • 低所得者Ⅰ・Ⅱの方は、限度額適用認定証ではなく「限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されます。

ご自身の所得区分や正確な限度額については、お住まいの市区町村の後期高齢者医療制度担当窓口にお問い合わせください。

◆ どうやって手に入れますか?(How do you get it?)

限度額適用認定証(または限度額適用・標準負担額減額認定証)は、申請に基づいて交付されます。以下の手順で申請できます。

  1. 申請に必要なものを準備する:

    • 後期高齢者医療被保険者証(ご自身の保険証)
    • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
    • 印鑑(認め印で可。ただし、自治体によっては不要な場合や、署名で対応できる場合もあります)
    • (代理人が申請する場合)代理人の本人確認書類、委任状(必要な場合)

    必要な書類は自治体によって若干異なる場合があるので、事前に確認しておくとスムーズです。

  2. お住まいの市区町村の後期高齢者医療制度担当窓口に行く:
    役場の担当窓口(医療保険課など)を訪れます。
  3. 申請書を記入・提出する:
    窓口に備え付けの「限度額適用認定申請書」などの必要書類に記入し、必要なものと合わせて提出します。ご自身の所得状況に基づき、どの区分に該当するかを確認されます。
  4. 認定証の交付を受ける:
    申請内容に問題がなければ、その場で交付されるか、後日郵送されます。

認定証には有効期限があります(通常は申請日の属する月の初日から、最も早い到来月の7月31日または3月31日までなど)。継続して利用したい場合は、更新の手続きが必要になります。有効期限が切れる前に、自治体から更新のお知らせが届くことが一般的です。

◆ どうやって使いますか?(How do you use it?)

取得した限度額適用認定証は、以下の手順で利用します。

  1. 医療機関や薬局の受付で提示する:
    受診時または会計時に、後期高齢者医療被保険者証と一緒に限度額適用認定証を窓口に提出します。入院の場合は、入院手続きの際に提示するのが一般的です。
  2. 提示された医療機関が上限額を確認する:
    医療機関や薬局は、提示された認定証でご自身の所得区分とそれに応じた自己負担限度額を確認します。
  3. 上限額に基づいた請求額を支払う:
    その月の同じ医療機関での保険診療の医療費が、自己負担限度額を超えている場合、窓口で請求される金額が上限額までとなります。月をまたいで医療を受けた場合は、月ごとに計算されます。
  4. 返却を受ける:
    会計後、保険証と一緒に認定証が返却されます。その月のうちに同じ医療機関を再度受診したり、他の医療機関にかかる可能性がある場合は、認定証を保管しておき、その都度提示します。

利用上の注意点:

  • 認定証は毎月、医療機関や薬局ごとに提示する必要があります。提示を忘れると、上限額が適用されず、通常の自己負担割合(1割、2割、3割)で請求されてしまいます。その場合は、後日高額療養費として超過分の払い戻しを申請することになります。
  • 月の途中で所得区分が変わったり、他の市区町村に転居した場合など、認定証の内容に変更が生じる可能性があります。その際は、改めて手続きが必要になる場合があります。
  • 保険診療外の費用(差額ベッド代、診断書料など)には適用されません。

限度額適用認定証は、後期高齢者医療制度に加入されている方々の医療費負担を軽減するための大切な制度です。医療費が高額になる可能性のある方や、低所得で医療費の負担がご心配な方は、ぜひお住まいの市区町村の窓口にご相談の上、申請をご検討ください。

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