郡上八幡城(ぐじょうはちまんじょう)は、岐阜県郡上市八幡町にある歴史的な山城です。長良川と吉田川の合流地点近くの、標高約250メートルの独立峰、城山(じょうやま)の山頂に築かれています。周囲の町並みや豊かな自然に溶け込むその姿は、訪れる人々に静かで美しい景観を提供します。特に、現在の木造天守閣は、日本国内でも珍しい再建形式として知られており、城郭ファンだけでなく、多くの観光客に親しまれています。この文章では、郡上八幡城に関する具体的な情報、「どこにあるのか」「どうやって行くのか」「いくらで入れるのか」「どんな歴史があるのか」「何が見られるのか」といった疑問に焦点を当て、詳細に解説していきます。

郡上八幡城はどこにある?(所在地)

郡上八幡城は、岐阜県郡上市八幡町柳町一之平に位置しています。
この地は、岐阜県のほぼ中央にあり、清流として知られる長良川の上流、吉田川沿いに開けた城下町、郡上八幡のシンボルです。城は町の中心部から見て東側の、急峻な山の上に建っています。城下町は川沿いの平地にありますが、城そのものは周囲から突き出た独立峰の頂にあるため、町を見下ろす格好になっています。その立地は、古来より交通の要衝であり、防衛上の重要拠点であったことを物語っています。城山の麓には郡上八幡の古い町並みが広がり、歴史的な雰囲気を肌で感じることができます。

郡上八幡城へのアクセス方法(どうやって行く?)

郡上八幡城へのアクセスは、まず郡上八幡の町へ到着し、そこから城山を登るという二段階になります。

郡上八幡までの主な交通手段

  • 鉄道を利用する場合:
    最寄りの駅は長良川鉄道の「郡上八幡駅」です。
    JR岐阜駅からは、長良川鉄道に乗り換え約1時間。のどかな風景を眺めながらの列車の旅を楽しめます。本数は多くないため、事前に時刻表を確認することが重要です。
  • 高速バスを利用する場合:
    名古屋方面からのアクセスが便利です。
    名鉄バスセンター(名古屋)から郡上八幡行きの高速バスが運行しており、約1時間半〜2時間で到着します。鉄道よりも本数が多く、比較的安価な場合もあります。岐阜駅や名古屋駅周辺からは、郡上八幡行きのバスが出ています。
  • 車を利用する場合:
    東海北陸自動車道の「郡上八幡IC」が最寄りのインターチェンジです。
    ICから市街地までは約10分程度です。名古屋、岐阜、高山など各方面からアクセス可能です。城山公園駐車場(有料)が城山の中腹にありますが、そこまで車で上がる道は狭く曲がりくねっています。週末や観光シーズンは混雑が予想されます。

郡上八幡駅から城山・城へのアクセス

郡上八幡駅は町の中心部から少し離れています。

  • 徒歩:
    駅からは徒歩で約20分〜30分ほどで町並みの入口に着きます。
    町並みを散策しながら城山へ向かうのも良いでしょう。
  • タクシー:
    駅からタクシーを利用するのが最も早く便利です。
    城山公園駐車場まで直接行くことができます。
  • コミュニティバス:
    郡上市内を巡回するコミュニティバスがあります。
    行き先や時刻を確認して利用するのも一つの方法です。

城山公園駐車場から天守閣へのアクセス

城山公園駐車場からは、天守閣まで舗装された急な坂道または石段を登る必要があります。
駐車場から天守閣までは、徒歩で約10分〜15分程度です。道は整備されていますが、勾配がきついため、歩きやすい靴を履いていくことを強くお勧めします。

町並みから直接城へ向かうルート

郡上八幡の町並みから城へ向かうルートもあります。
「登山道」というよりは、舗装された急坂や階段が続く「遊歩道」といった雰囲気です。八幡町内から城山への登り口はいくつかありますが、最も一般的なのは、町役場や宗祇水(そうぎすい)近くから始まるルートです。このルートは駐車場を経由せず、直接天守閣を目指すため、より勾配がきつい部分もあります。町並みからのルートを利用する場合、天守閣まで徒歩で約15分〜25分程度を見ておくと良いでしょう。こちらもかなり急な登り坂や階段が続きますので、体力に自信のない方や時間に余裕のない方は、城山公園駐車場まで車やタクシーで上がった方が楽でしょう。

アクセスに関する注意点:
郡上八幡城は山城であり、必ず登りが必要になります。歩きやすい靴、季節に応じた服装は必須です。特に雨天後や冬季は足元に注意が必要です。

郡上八幡城の入城料・開城時間(いくら?いつ開いている?)

郡上八幡城を見学するための入城料と開城時間は以下のようになっています(情報は変更される場合がありますので、訪問前に公式サイトなどで確認することをお勧めします)。

入城料(拝観料)

  • 大人:〇〇円(通常)
  • 小人(小中学生):〇〇円(通常)

※団体割引や他の施設との共通券が設定されている場合もあります。

開城時間(開館時間)

  • 通常期間:午前9時〜午後5時
  • 冬季(12月~2月頃):午前9時〜午後4時半

※最終入城時間は閉城時間の15分〜30分前となるのが一般的です。
※季節によって開城時間が変動することがあります。
※休城日は基本的にありませんが、荒天時やメンテナンスのため臨時休城となる場合があります。

郡上八幡城の歴史(どんな歴史がある?)

郡上八幡城の歴史は、戦国時代にさかのぼります。その経緯は、築城から廃城、そして再建へと波乱に満ちています。

  • 築城(1559年):
    永禄2年(1559年)、遠藤盛数(えんどう もりかず)によって築城されたのが始まりとされています。
    彼はこの地を治めるにあたり、戦略的に重要なこの山に城を構えました。
  • 戦国・江戸時代:
    築城後は遠藤氏の居城となりますが、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった時の権力者の影響を受け、城主は代わります。
    井上氏、金森氏、青山氏など、様々な大名が城主となり、その都度、城郭は改修・整備されたと考えられています。
    江戸時代には郡上藩の中心となり、城下町も整備されていきます。
  • 廃城(1871年):
    明治維新後、明治政府によって出された廃城令により、郡上八幡城も廃城の運命をたどります。
    惜しくも石垣などを残して建物は取り壊されてしまいました。
  • 木造天守閣の再建(1933年):
    特筆すべきは、昭和8年(1933年)に地元の有志や町民の熱意と寄付によって、木造で天守閣が再建されたことです。
    これは、日本で最初に木造で再建された模擬天守(当時の姿を忠実に再現したものではないが、外観や雰囲気を模したもの)と言われています。
    当時の大垣城を参考に設計されたと伝えられており、鉄筋コンクリート造りが主流となる中、木造での再建を選んだ点に、郡上八幡の人々の城への深い愛情と誇りを感じることができます。

現在の郡上八幡城は、この昭和の木造再建天守閣を中心に、当時の石垣や曲輪の配置が残る姿を見せています。史跡としては、石垣などが岐阜県の史跡に指定されています。

郡上八幡城の見どころ・魅力(何が見られる?)

郡上八幡城は、その規模は大きくありませんが、歴史的な趣と周囲の景観が一体となった魅力的な城です。見どころは多岐にわたります。

天守閣(木造再建)

郡上八幡城のシンボルであり、最大の見どころです。
昭和初期に地元の力で木造再建された天守閣は、白い壁と黒い瓦の対比が美しく、周囲の緑によく映えます。鉄筋コンクリート造りの城とは異なり、木材の温かみや構造を内部から感じられるのが特徴です。

天守閣内部

  • 各階の展示:
    天守閣内部は資料館になっており、郡上八幡城の歴史、城主たちのこと、郡上地域の資料などが展示されています。
    模型やパネル、武具の展示などがあり、城の歴史や構造を学ぶことができます。
  • 木造構造:
    階段や梁など、木造ならではの構造を間近に見ることができます。
    手触りや木の香りも感じられ、当時の建築技術の一端に触れることができます。
  • 最上階からの眺め:
    最上階は展望台になっており、ここからの眺めは圧巻です。
    後述する「眺望」の項で詳しく説明します。

石垣

城山の斜面に築かれた石垣は、当時の面影を強く残しています。
自然の石をあまり加工せずに積み上げた「野面積み(のづらづみ)」という工法が主に見られます。
この石垣は、400年以上の時を経てなお、強固に城山を支え続けており、築城当時の技術の高さを示しています。角度によって様々な表情を見せる石垣も、城歩きの楽しみの一つです。

曲輪(くるわ)と虎口(こぐち)

山城らしく、山頂から段階的に設けられた複数の曲輪(平坦な郭)の跡を見ることができます。
現在の天守閣がある本丸、その下の二の丸、三の丸といった配置が確認できます。
また、城への入口である虎口(通路がクランク状になっていたり、狭くなっていたりする防御上の工夫が凝らされた門のこと)の跡などもあり、往時の縄張りを想像しながら散策するのも興味深いでしょう。

模擬大手門

天守閣へと続く道沿いに再建された模擬大手門があります。
実際の城の正門にあたる部分であり、ここをくぐるといよいよ城郭の中心部へと入るという気持ちになります。

城山公園

城山全体が公園として整備されています。
四季折々の自然を楽しむことができ、春は桜、秋は紅葉が美しく、天守閣と合わせて風情ある景色を作り出します。
特に秋の紅葉時期には、赤や黄色に色づいた木々の中に佇む白い天守閣は、絵画のような美しさです。

郡上八幡城からの眺望(どんな景色が見られる?)

郡上八幡城の最大の魅力の一つは、天守閣最上階や城山公園の各所から見渡せる雄大な眺望です。

天守閣最上階からは、360度のパノラマが広がります。

  • 郡上八幡の町並み:
    眼下には、郡上八幡の城下町が一望できます。
    屋根瓦の色合いや、古い町並みの区画がよく分かり、まるで箱庭のように見えます。
    清流・吉田川が町を縫うように流れ、その先に長良川が見える景観は「水の町」郡上八幡ならではです。
  • 吉田川と長良川:
    二つの清流の合流地点や、それぞれの川の流れを見ることができます。
    川沿いの緑豊かな風景は、心を癒してくれます。
  • 周辺の山々:
    郡上八幡は周囲を山々に囲まれた盆地状の地形にあります。
    遠くまで連なる山並みを望むことができ、季節ごとにその表情を変えます。特に晴れた日には、遠方の山々まで見通せ、壮大な自然を感じられます。

季節や時間帯によっても眺めは変わります。特に、早朝や夕暮れ時は、町に靄がかかることがあり、幻想的な風景を見せてくれます。

「天空の城」と呼ばれることも(なぜ?)

郡上八幡城は、その立地条件から「天空の城」と呼ばれることがあります。これは兵庫県の竹田城跡などと同様に、山の上に位置していることに由来します。

特に、秋の深まる季節や冬の早朝など、吉田川や長良川の川霧が発生しやすい条件が揃うと、麓の町並みが霧の中に隠れ、あたかも城が雲海の上に浮かんでいるかのように見えることがあります。この幻想的な風景が、まるで天空に浮かぶ城のような印象を与えるため、「天空の城」という愛称で呼ばれることがあります。ただし、常に雲海が見られるわけではなく、気象条件に大きく左右される現象です。

城山を登る(どうやって登る?大変?)

前述のアクセス方法でも触れましたが、郡上八幡城へは徒歩で城山を登る必要があります。

  • 登山ルート:
    主に、城山公園駐車場からのルートと、町並みからの直接ルートがあります。
    どちらも整備された道(坂道や階段)ですが、山道を登ることに変わりはありません。
  • 勾配:
    比較的急な坂道や長い石段が続きます。
    麓の町並みから天守閣までの標高差は約150メートルほどあります。
    ゆっくり登っても15分〜25分程度で天守閣に到着しますが、普段あまり運動しない方にとっては少し息が上がるかもしれません。
  • 準備:
    スニーカーなどの歩きやすい靴は必須です。
    夏場は暑くなるため、飲み物やタオルがあると良いでしょう。
    体力に自信がない場合は、城山公園駐車場まで車で移動し、そこから短い距離を登るのが負担が少ない方法です。

登りは少し大変かもしれませんが、その分、登りきった後に見る景色や、城郭にたどり着いた時の達成感は格別です。

郡上八幡城と合わせて訪れたい周辺の見どころ

郡上八幡城を訪れたら、ぜひセットで楽しみたいのが、城下町・郡上八幡の散策です。

  • 水の町並み:
    郡上八幡は「水の町」として有名で、町中に清らかな水路が流れ、生活用水として利用されています。
    「宗祇水(そうぎすい)」は日本の名水百選の第一号に選ばれた湧水で、観光客にも人気のスポットです。
    吉田川沿いや古い町並みには、水音を聞きながら歩ける心地よい散策路が多数あります。
  • 古い町並み:
    城下町として栄えた当時の面影を残す古い町並みには、情緒ある家々や店舗が並んでいます。
    お土産物屋さん、カフェ、食事処などが点在しており、食べ歩きやショッピングも楽しめます。
  • 郡上おどり:
    郡上八幡の最大の魅力ともいえるのが、日本の重要無形民俗文化財に指定されている「郡上おどり」です。
    夏期間(7月中旬〜9月上旬)には毎夜、町中で踊りが繰り広げられ、期間中には徹夜おどりも開催されます。
    城下町全体が一体となって踊る光景は圧巻です(城おどり期間外でも、郡上八幡博覧館などで体験可能です)。
  • 食品サンプル工房:
    郡上八幡は食品サンプル製造でも有名です。
    町内には食品サンプル作り体験ができる工房があり、旅の記念にオリジナルのサンプルを作ることができます。
  • 郡上八幡博覧館:
    町の歴史や文化、産業、そして郡上おどりについて総合的に学べる施設です。
    初めて郡上八幡を訪れる方には、立ち寄る価値のある場所です。

郡上八幡城と城下町を組み合わせることで、歴史、自然、文化、そして「水」が織りなす郡上八幡独自の魅力を存分に体験することができます。

まとめ

郡上八幡城は、戦国時代の築城から一度は廃城となりながらも、人々の熱意によって木造で再建された珍しい歴史を持つ城です。決して巨大ではありませんが、その清冽な歴史、山上に位置する戦略的な立地、そこから望むことができる絶景、そして麓に広がる「水の町」郡上八幡との調和が、この城 unique な魅力となっています。急な坂道を登る体力は必要ですが、天守閣からの眺めや、木造ならではの温かみのある内部空間、そして石垣に刻まれた歴史の重みは、訪れる価値のある体験となるでしょう。郡上八幡の美しい町並みと合わせて、ぜひ一度訪れてみてください。


郡上八幡城

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