労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関として、事業場が労働基準法をはじめとする労働関係法令を遵守しているか監督する役割を担っています。日本全国に設置されており、それぞれの地域を管轄しています。
兵庫県相生市にある【相生労働基準監督署】も、その一つです。では、この相生労働基準監督署は具体的にどのような機能を持つのか、どのような時に利用できるのか、どこにあるのか、利用には費用がかかるのかなど、よくある疑問点について掘り下げて見ていきましょう。
【相生労働基準監督署】とは？どんな仕事をしているの？
相生労働基準監督署は、その管轄地域内にある事業場（会社、工場、店舗など）に対して、労働者の労働条件に関するルールである労働基準法や、労働者の安全と健康を守る労働安全衛生法などが守られているかを確認し、必要に応じて指導を行います。
主な業務内容
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事業場への立ち入り調査（臨検監督）:
労働基準法や労働安全衛生法などが守られているか、実際に事業場に立ち入って帳簿類（労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など）や施設を確認します。法令違反が認められた場合は、改善勧告や使用停止命令などを出し、是正を指導します。定期的に行われるもののほか、労働者からの申告（通報）を受けて行われるものもあります。 -
労働条件に関する相談・情報提供:
労働者、使用者（事業主）、あるいはその両方からの、労働時間、休日、賃金、解雇、有給休暇など、労働条件に関する様々な相談に応じ、関係法令の情報提供やアドバイスを行います。 -
労働者からの申告への対応:
事業場が労働基準法などに違反している事実がある場合、労働者からの申告を受け付け、調査を行います。申告に基づいて事実が確認された場合は、事業場への監督指導が行われます。申告者の秘密は守られます。 -
労働災害に関する調査と手続き:
労働者が業務中や通勤中に負傷したり、病気になったり、死亡したりした場合（労働災害）、その原因を調査します。また、労働者死傷病報告書の提出を受け付け、労災保険給付に関する手続きの一部を行います（労災保険給付の決定自体は労働基準監督署ではなく労働局や他の機関が行う場合が多いですが、手続きの窓口となります）。 -
安全衛生に関する指導:
事業場に対して、労働者の安全や健康を確保するための対策（危険防止措置、健康診断の実施、作業環境管理など）について指導を行います。
このように、相生労働基準監督署は、地域の労働者の権利や安全が守られるように、法律に基づいた活動を行っている機関です。
どんな時に【相生労働基準監督署】を利用するの？
相生労働基準監督署を利用するのは、主に労働者、事業主、あるいはその関係者です。具体的には、以下のような状況で利用することが考えられます。
労働者の場合
- 未払いの賃金がある場合（残業代が支払われない、最低賃金を下回る賃金など）
- 長時間労働が常態化しており、休憩や休日が適切に取れない場合
- 不当な理由で解雇されたのではないかと疑われる場合（ただし、解雇自体の有効無効は裁判等で争われることが基本ですが、労働基準法上の手続き違反などがあれば監督対象になります）
- 有給休暇を取らせてもらえない場合
- 職場の安全対策が不十分で、危険だと感じる場合
- 業務中に怪我や病気をしたが、事業主が適切な対応をしてくれない場合
- ハラスメントなど、労働環境に問題があるが、会社が対応してくれない場合（ハラスメント自体を直接取り締まるわけではありませんが、労働安全衛生法上の職場環境配慮義務違反として指導の対象となることがあります）
- 自分の労働条件について、法律上どうなっているのか知りたい場合
労働者からの申告（通報）は、匿名で行うことも可能です。ただし、匿名の場合は事実確認が難しくなるケースもあるため、可能な範囲で情報を提供することが調査につながりやすくなります。
事業主の場合
- 労働時間、残業、休日、有給休暇などの労働条件の設定について、法律上の要件を確認したい場合
- 就業規則の作成や変更について、アドバイスを受けたい場合
- 労働保険（労災保険・雇用保険）の手続きについて知りたい場合（雇用保険に関する主な手続きはハローワークの管轄です）
労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制の構築や、健康診断の実施方法などについて相談したい場合
その他、労働組合や労働者の親族などが相談や情報提供を求める場合もあります。
【相生労働基準監督署】はどこにあるの？管轄地域は？
相生労働基準監督署は、兵庫県相生市に設置されています。具体的な所在地や連絡先は、正確かつ最新の情報を得るために、厚生労働省や兵庫労働局の公式ウェブサイトで確認することが最も確実です。
一般的な政府機関と同様に、開庁時間は平日の午前8時30分頃から午後5時15分頃までとなっていることが多いですが、こちらも事前に確認することをお勧めします。土日祝日や年末年始は閉庁しています。
管轄地域について
相生労働基準監督署の管轄は、相生市だけでなく、周辺の市や町も含まれます。具体的な管轄地域は、時期によって見直しが行われる可能性もあるため、これも公式情報で確認が必要ですが、一般的には以下のような地域が含まれると考えられます。
- 相生市
- たつの市
- 赤穂市
- 宍粟市
- 佐用郡佐用町
- 神崎郡市川町、福崎町、神河町（一部の地域が他の監督署管轄の場合もあります）
- 揖保郡太子町
- 赤穂郡上郡町
ご自身の事業場や居住地がどの労働基準監督署の管轄になるか不明な場合は、最寄りの労働局や労働基準監督署に問い合わせるか、公式ウェブサイトの管轄区域一覧で確認してください。
【相生労働基準監督署】を利用する方法は？相談は？申告は？
相生労働基準監督署のサービスを利用するには、主に電話での問い合わせ、直接窓口を訪問しての相談、または申告書の提出といった方法があります。
相談や情報提供を求める場合
労働条件に関する疑問や、法律について知りたいことがある場合は、まず電話で問い合わせるか、直接窓口を訪問して相談することができます。
- 電話相談: 事前に電話で状況を簡潔に説明し、相談が可能か確認するとスムーズです。込み合っている時間帯もあるため、繋がりにくい場合もあります。
- 窓口相談: 直接訪問する場合、事前に電話で予約が必要な場合や、担当者が不在の場合もありますので、電話で確認してから訪問することをお勧めします。相談内容に関係する資料（雇用契約書、給与明細、タイムカードなど）を持参すると、より具体的なアドバイスを受けられます。
これらの相談は、あくまで情報提供やアドバイスの範囲であり、監督署が個別の紛争に介入して解決を図るものではありません。
法令違反の申告（通報）をする場合
事業場が労働基準法などの法令に違反している事実があり、その是正を求めたい場合は、「申告」を行うことができます。
申告は、書面で行うのが一般的ですが、窓口で事情を説明し、申告書作成のサポートを受けることも可能です。申告には、いつ、どこで、どのような法令違反があるのかを具体的に示す必要があります。給与明細、就業規則、会社の指示がわかるメモやメールなどの客観的な証拠があると、調査がより進めやすくなります。
申告を受け付けた労働基準監督署は、申告内容に基づいて調査を行い、事実が確認されれば事業場への監督指導を行います。ただし、申告内容が必ずしも調査や指導に結びつくとは限りません。法違反の事実が確認できない場合や、民事上のトラブルの側面が強い場合などは、他の相談窓口（弁護士、労働組合、ADR機関など）を紹介されることもあります。
【相生労働基準監督署】の利用に費用はかかる？
相生労働基準監督署が行う、労働者や事業主からの労働条件に関する相談、情報提供、申告に基づく調査や監督指導といったサービスは、基本的に無料です。
国が労働基準法などの法令を遵守させるために行っている行政サービスですので、利用者が手数料などを支払う必要はありません。
ただし、事業場が法令違反を指摘され、改善勧告に従わない場合や、重大な法令違反がある場合には、罰則（罰金や懲役など）が科される可能性があり、これは事業主にとっての「費用」や「コスト」と言えます。しかし、これは監督署のサービス利用料ではなく、法令違反に対する制裁です。
また、労働災害が発生した場合の労災保険給付についても、保険料は事業主が負担するものであり、労働者が給付を受ける際に監督署に手数料を支払うことはありません。
まとめ
相生労働基準監督署は、相生市およびその周辺地域を管轄し、労働基準法や労働安全衛生法などに基づき、労働条件の確保・向上と労働者の安全・健康確保のための活動を行っています。
未払い賃金、長時間労働、安全衛生上の問題など、労働条件や安全に関する問題で困ったとき、あるいは事業主として法令遵守のために情報が必要なとき、相生労働基準監督署は重要な相談先、情報提供元となり得ます。相談や申告は無料で利用できますので、まずは公式ウェブサイトで連絡先や所在地を確認し、問い合わせてみることをお勧めします。