【相撲番付表】とは何ですか? その基本的な情報について
相撲番付表(すもう ばんづけひょう)とは、日本相撲協会が発行する、大相撲の全力士の階級(番付)を示した一覧表です。これは、場所(本場所、年6回開催される公式戦)ごとに新しく作成され、その場所に出場する力士たちの「格」と序列を明確に示します。
単なるリストではなく、番付表自体が非常に特徴的な形で作成されます。
- 独特の書体: 番付表は「相撲字(すもうじ)」と呼ばれる独特の太い書体で書かれます。これは字の隙間が少ないことから「お客さんが詰まって(満員に)入るように」という願いが込められていると言われます。
- 巨大な紙: 公式の番付表は非常に大きな和紙に印刷されます。場所によっては畳一枚分ほどの大きさになることもあります。
- 東と西: 力士は番付によって「東」と「西」に分けられます。一般的に、同じ階級であれば東の方がやや格上とされます。番付表も中央を境に東方が右側、西方から左側に記されるのが伝統的な形式です。
この番付表を見ることで、どの力士がどの階級に属し、その階級内でどの位置にいるのかが一目で分かります。これは力士本人にとってはもちろん、相撲ファンにとっても、場所の行方を占う上で欠かせない情報源です。
【相撲番付表】にはどのような具体的な情報が掲載されていますか?
番付表には、力士一人ひとりについて以下の情報が記載されます。
- 番付上の地位(階級と序列): これが最も主要な情報です。横綱、大関、関脇、小結、前頭といった幕内力士から、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口といった下の階級の力士まで、全員が厳密な序列に従って記載されます。同じ階級内でも、例えば前頭十五枚目 東、前頭十五枚目 西、前頭十四枚目 東…といった形で細かく順位がつけられています。
- 四股名(しこな): 力士の登録名(リングネーム)です。
- 所属する相撲部屋: 力士が所属する部屋の名前です。
- 出身地または出身都道府県: 力士の故郷が記載されます。
これらの情報が、相撲字で、階級が上になるほど大きく、下になるほど小さく書かれ、全体として一種のピラミッドのような構造を成しています。
【相撲番付表】はどのように作成され、どれくらいの頻度で更新されますか?
番付表の作成は、前場所(直前の本場所)が終わった後に行われます。そのプロセスは以下の通りです。
番付編成会議
場所終了後、日本相撲協会は「番付編成会議(ばんづけ へんせいかいぎ)」と呼ばれる会議を開催します。この会議には、協会の理事を務める親方衆が出席し、前場所の結果をもとに、全力士の次場所の番付を協議・決定します。
昇進と降格の基準
番付の昇降は、基本的に前場所の成績(勝ち越し・負け越し)によって決まります。
- 勝ち越し(かちこし): 幕内・十両力士は15番中8勝以上、幕下以下の力士は7番中4勝以上を挙げると勝ち越しとなり、次場所は原則として番付が上がります。勝ち星が多いほど、より大きく番付が上がります。
- 負け越し(まけこし): 幕内・十両力士は15番中8敗以上、幕下以下の力士は7番中4敗以上を喫すると負け越しとなり、次場所は原則として番付が下がります。負け星が多いほど、より大きく番付が下がります。
ただし、同成績でも対戦相手の強さや、特定の階級での成績(例:三役での勝ち越し)、他の力士の成績なども考慮されることがあります。特に横綱・大関への昇進には、直近の複数場所での成績や品格なども含めた総合的な判断が下されます。
実際の執筆と発行
番付編成会議で決定された内容は、その後、「行司(ぎょうじ)」の中でも特に番付書きを担当する者が、伝統的な相撲字を用いて一枚ずつ手作業で書き上げていきます。非常に集中力と技術を要する作業です。書き上げられた後、印刷され、正式な番付表として発行されます。
更新頻度
番付表は、年に6回開催される本場所の直前、必ず新しく作成・発行されます。 具体的には、各本場所が始まる約2週間前の月曜日に発表されるのが通例です。これにより、ファンは次の場所の顔ぶれと力士たちの立ち位置を事前に知ることができます。
【相撲番付表】はどこで入手したり、見たりすることができますか?
公式の番付表を入手したり、その内容を確認したりする方法はいくつかあります。
- 日本相撲協会公式サイト: 最も手軽なのは、日本相撲協会の公式サイトでデジタル版の番付表を確認することです。場所が近づくと最新の番付表がPDFなどで公開されます。
- 大相撲観戦場所(国技館など): 本場所が開催される場所の売店などでは、公式の紙媒体の番付表が販売されます。これは記念品としても人気があります。
- 相撲関連グッズ販売店やオンラインストア: 相撲専門のグッズを扱う店舗や、オンラインのショッピングサイトでも、公式の番付表や、それを印刷した手ぬぐいなどが販売されています。
- 一部の郵便局: 場所によっては、公式の番付表が特定の郵便局で販売されることがあります。これは地域や場所によって異なります。
- 新聞など: スポーツ新聞や一般紙のスポーツ欄で、場所が近づくと番付表の全体または一部が掲載されることがあります。
デジタルで手軽に見るか、伝統的な紙媒体のものを購入するか、目的や好みに合わせて選ぶことができます。
【相撲番付表】の紙媒体はどれくらいの費用で購入できますか?
公式に販売されている紙媒体の番付表の価格は、比較的手頃です。
一般的に、数百円程度(例:200円~500円程度)で購入できることが多いです。
ただし、これはあくまで「番付表」そのものの価格であり、番付をデザインした額装品や、手ぬぐいなどのグッズになると価格は大きく変わります。純粋に次場所の序列を確認するための公式番付表は、多くのファンが気軽に購入できるよう、抑えられた価格設定になっています。購入場所によって若干価格が異なる可能性もあります。
【相撲番付表】の読み方、見方を教えてください。その独特なレイアウトを理解するには?
初めて番付表を見ると、その独特な縦書き、右から左への形式や、文字の大きさが不揃いなことに戸惑うかもしれません。しかし、基本的なルールを理解すれば、誰でも読み解くことができます。
基本的なレイアウト
番付表は、中央の線を挟んで右側が「東」、左側が「西」となります。読み始めは最も右上の「東横綱」からとなり、そこから下へ、そして左へ、と進んでいきます。
階級(番付)の順序
番付表は、上に行くほど、そして東の方が、より階級が高い力士が配置されます。
- 最上段中央: 大関が並びます。横綱がいる場合は、大関の上に横綱が記載されます。複数いる場合は横綱、大関ともに序列があります。
- その下: 関脇、小結といった「三役(さんやく)」が続きます。
- さらに下: 前頭(まえがしら)が、筆頭(一番上)から最下位まで順に並びます。ここまでが幕内力士です。
- 幕内の下: 十両(じゅうりょう)力士が並びます。幕内と十両の合計約70名が「関取(せきとり)」と呼ばれ、給与が支給されるなど特別な地位にあります。
- 十両の下: 幕下(まくした)、三段目(さんだんめ)、序二段(じょにだん)、序ノ口(じょのくち)といった、いわゆる「力士養成員」が続きます。これらの階級は、番付が下がるにつれて文字がどんどん小さくなっていきます。
同じ階級内では、「東〇枚目」「西〇枚目」といった形で序列がつけられています。例えば、「前頭筆頭(東前頭一枚目)」が最も強く、「東前頭十五枚目」と「西前頭十五枚目」では東の方がわずかに上、となります。
力士を探すには
特定の力士を探したい場合は、まずその力士がおおよそどのあたりの階級にいるか見当をつけ、その階級のエリアを探します。四股名が相撲字で書かれているため、最初は読みにくいかもしれませんが、慣れてくると判別できるようになります。
番付表は単なるリストではなく、大相撲のピラミッド構造と、力士たちの努力の結果が凝縮された伝統的な工芸品とも言えます。
【相撲番付表】に記載される主な階級(番付)は何ですか?
番付表には、力士の強さや実績に応じた厳格な階級が記されます。大きく分けて、給与が支給される「関取」と、そうでない「力士養成員」に分かれます。
関取
- 横綱(よこづな): 力士の最高位。複数いる場合も空位の場合もあります。番付表では最上段中央、大関の上に特別に記されます。
- 大関(おおぜき): 横綱に次ぐ地位。番付表では最上段に並びます。
- 関脇(せきわけ)、小結(こむすび): 大関の下の地位で、合わせて「三役」と呼ばれます。通常、東西に1名ずつ(計4名)が基準ですが、成績によっては人数が増えることもあります。
- 前頭(まえがしら): 三役の下の、幕内力士の大多数を占める階級。筆頭(一枚目)から始まり、幕内の人数によって枚数が変動します(通常15枚程度)。東と西に分かれて並びます。
- 十両(じゅうりょう): 幕内の下の階級で、関取の最下位。約28名がいます。十枚目から始まり、一番下の階級になります。
力士養成員
- 幕下(まくした): 十両の下の階級。通常120名がいます。
- 三段目(さんだんめ): 幕下の下の階級。通常180名がいます。
- 序二段(じょにだん): 三段目の下の階級。ここから人数が不定となり、新弟子などもここに加わることが多いです。
- 序ノ口(じょのくち): 力士の最下位。入門したばかりの力士などが属します。
番付表では、横綱、大関、三役、前頭、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口の順に上から下へ記載され、下の階級ほど文字が小さくなることで、その階級の重みが視覚的にも表現されています。
場所(本場所)の成績によって、【相撲番付表】の力士の順位はどのように変わりますか?
前述の通り、番付の昇降は前場所の成績が最も重要な要素です。
勝ち越しの場合
勝ち越し(勝ち星が負け星を上回る)た力士は、原則として次場所の番付が上がります。
- 勝ち越しの星数: 勝ち越しの幅が大きいほど、昇進幅も大きくなります。例えば、前頭下位で10勝以上挙げると、次場所で大きく番付を上げる可能性があります。
- 対戦相手: 勝ち越した星の中に、上位力士(横綱・大関・三役)からの白星が多いと、評価が高まり、昇進が優遇されることがあります。
- 他の力士の成績: 同じ階級の他の力士の成績も影響します。例えば、同階級で大勢が勝ち越した場合、昇進の枠には限りがあるため、昇進幅が小さくなることがあります。逆に負け越しが多かった場合は、比較的大きく番付を上げられることもあります。
負け越しの場合
負け越し(負け星が勝ち星を上回る)た力士は、原則として次場所の番付が下がります。
- 負け越しの星数: 負け越しの幅が大きいほど、降格幅も大きくなります。特に大きく負け越すと、一気に数枚、あるいは階級を跨いで降格することもあります。
- 休場: 場所中に怪我などで休場した場合、その場所の成績は原則として全て負けとして扱われるため、大きく負け越したことになり、番付も大幅に下がることが多いです。
特に注目される昇降格
- 新入幕: 十両から幕内への昇進。初めて関取から幕内力士になることは、力士にとって大きな目標の一つです。
- 新三役: 前頭から関脇または小結への昇進。給与や待遇がさらに向上し、上位総当たりに近い取組が組まれるようになります。
- 新大関、新横綱: これは特定の成績基準(例:直近3場所での勝ち星数、三役での成績など)を満たし、さらに番付編成会議や横綱審議委員会の議を経て決定される、特別な昇進です。
- 幕下陥落: 十両から幕下への降格。関取の地位を失うことを意味し、力士にとっては非常に厳しい状況となります。
このように、番付表は力士たちの前場所の努力の結果を映し出し、次場所での立ち位置を定める、厳しくも公平な評価システムと言えます。力士たちは皆、この番付を少しでも上げ、あるいは維持するために日々稽古に励んでいます。