神奈川県の最低賃金とは?
神奈川県の最低賃金は、神奈川県内で働くすべての労働者に対して、使用者が支払わなければならない賃金の最低額を定めたものです。正社員、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者など、雇用形態に関わらずすべての労働者に適用されます。この金額を下回る賃金で労働者を使用することは、法律(最低賃金法)で禁じられています。
現在の神奈川県最低賃金はいくら?
神奈川県の最低賃金は、神奈川県最低賃金として毎年改定されます。
直近の改定では、令和5年10月1日から、時間額が1,112円となっています。
これは、神奈川県内で働くすべての労働者に適用される最も基本的な最低賃金です。
この最低賃金は誰に、どのような賃金に適用されるの?
適用される労働者
神奈川県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。
- 正社員
- 契約社員
- パートタイマー
- アルバイト
- 派遣労働者
- 嘱託社員
など、名称や雇用形態に関わらず、すべての労働者が対象です。
最低賃金の計算に含まれる賃金
最低賃金と比較するための「賃金」には、毎月支払われる基本的な賃金が含まれます。
- 基本給
- 役付手当
- 職務手当 など、名称にかかわらず労働契約によって定められた、あらかじめ算定できる手当の一部
ただし、以下の賃金は最低賃金の計算には含まれません。
最低賃金の計算に含まれない賃金
以下の賃金は、時間外労働や特定の状況に対して支払われるものであり、最低賃金の計算対象とはなりません。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金
最低賃金と比較する際は、これらの含まれない賃金を除外した「基本的な賃金」の時間額を計算する必要があります。
神奈川県には特定の産業ごとの最低賃金もある?
はい、神奈川県には特定最低賃金が設定されている産業があります。これは、特定の基幹産業について、神奈川県最低賃金よりも高い水準で定められている最低賃金です。
特定最低賃金が適用される産業で働く労働者には、その特定最低賃金が適用されます。ただし、当該労働者に適用される特定最低賃金よりも神奈川県最低賃金の方が高い場合は、神奈川県最低賃金が適用されます。つまり、「神奈川県最低賃金」と「特定最低賃金」の両方が適用される場合は、高い方の金額が最低賃金となります。
特定最低賃金が適用される産業やその金額は、神奈川労働局のウェブサイトなどで確認できます。ご自身の働いている産業に特定最低賃金が適用されているか、確認してみましょう。
自分の賃金が最低賃金以上か、どうやって計算して確認するの?
ご自身の賃金が神奈川県の最低賃金(または特定最低賃金)以上であるかを確認するには、ご自身の賃金形態に合わせて時間額を計算し、最低賃金額と比較します。
時給の場合
時給の場合は最も簡単です。
あなたの時給額が、神奈川県最低賃金(または適用される特定最低賃金)以上であればOKです。
例:時給 1,120円 > 神奈川県最低賃金 1,112円 → OK
例:時給 1,100円 < 神奈川県最低賃金 1,112円 → NG
日給の場合
日給の場合は、1日の所定労働時間で割って時間額に換算します。
(日給額 から、最低賃金に含めない手当等を除外した額) ÷ 1日の所定労働時間数 ≧ 神奈川県最低賃金(または特定最低賃金)
例:日給 9,000円、所定労働時間 8時間、含まれない手当無し
9,000円 ÷ 8時間 = 時給 1,125円
1,125円 > 神奈川県最低賃金 1,112円 → OK
月給の場合
月給の場合は、1ヶ月の所定労働時間で割って時間額に換算します。
(月給額 から、最低賃金に含めない手当等を除外した額) ÷ 1ヶ月の所定労働時間数 ≧ 神奈川県最低賃金(または特定最低賃金)
1ヶ月の所定労働時間は、例えば以下のように計算できます。
(1年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間) ÷ 12ヶ月
または
(1週間の所定労働時間 × 52週) ÷ 12ヶ月
例:月給 185,000円(基本給のみ)、年間所定労働日数 250日、1日所定労働時間 8時間
1年間の所定労働時間 = 250日 × 8時間 = 2,000時間
1ヶ月の所定労働時間 = 2,000時間 ÷ 12ヶ月 ≒ 166.6時間
月給の時間額 = 185,000円 ÷ 166.6時間 ≒ 時給 1,110円
1,110円 < 神奈川県最低賃金 1,112円 → NG
※計算に含まれない手当がある場合は、その金額を月給額から差し引いて計算します。
※所定労働時間数が変動する場合は、直近の期間で平均を出すなどして計算します。
もし最低賃金より低い賃金しか支払われていない場合は、どうすればいい?
最低賃金法に違反して、最低賃金未満の賃金で労働者を使用することは法律違反であり、罰則の対象となります。
もしあなたが最低賃金以上の賃金を受け取れていない疑いがある場合、以下のステップを検討してください。
1. 会社に確認する
まずは、給与明細などを持参して、会社の担当者(人事部や経理担当など)に直接相談してみましょう。計算方法の誤解や確認不足である可能性もあります。丁寧な説明を求め、事実関係を確認することが第一歩です。
2. 労働組合に相談する
もしあなたが労働組合に加入している場合は、労働組合に相談できます。労働組合は団体交渉などを通じて、会社と賃金についての話し合いを進めることができます。
3. 労働基準監督署または労働局に相談・申告する
会社との話し合いで解決しない場合や、会社に相談しづらい場合は、労働基準監督署や都道府県労働局に相談することができます。
労働基準監督署とは?
労働基準法などに基づき、事業場が労働関係法令を守っているかを監督し、労働者の権利を守るための機関です。相談を受け付けたり、事業場に立ち入り調査(臨検)を行ったりします。
都道府県労働局とは?
厚生労働省の地方組織で、雇用、労働条件、安全衛生など、幅広い労働問題に関する行政を行っています。最低賃金に関する問い合わせや相談にも対応しています。
労働基準監督署や労働局では、最低賃金に関する相談に無料で応じてくれます。あなたの状況を聞き取り、賃金の計算方法などを確認し、必要なアドバイスや指導を行います。明らかな最低賃金法違反が認められる場合には、会社に対して指導や是正勧告を行うこともあります。
相談は匿名でも可能ですが、具体的な調査や指導を求める場合は、ある程度の情報を提供する必要があります。
神奈川県の最低賃金に関する正確な情報はどこで確認できる?相談先は?
最新の正確な情報や、個別の状況に関する相談は、以下の公的機関で行うのが最も確実です。
- 神奈川労働局 労働基準部賃金室
- 神奈川県内の各労働基準監督署
これらの機関の連絡先や所在地は、神奈川労働局の公式ウェブサイトで確認できます。ウェブサイトでは、最新の神奈川県最低賃金額や特定最低賃金の一覧、最低賃金の詳細な解説などが掲載されています。
賃金は、働く上で最も重要な条件の一つです。ご自身の賃金が法律で定められた最低限の基準を満たしているか、定期的に確認し、もし疑問や問題があれば、ためらわずに相談機関を利用しましょう。