「悪魔人黙示録」（デビルマンもくしろく）は、永井豪による日本の漫画作品であり、その中でも特に
オリジナル『デビルマン』漫画版の直接的な続編として位置づけられている重要な作品です。
オリジナルの壮絶な結末の後、荒廃した世界を舞台に物語が描かれます。
悪魔人黙示録とは何か？
悪魔人黙示録は、漫画家・永井豪が原作を手掛け、漫画家・衣谷遊が作画を担当した漫画シリーズです。
講談社の漫画雑誌『モーニング』にて連載されました。
この作品は、1972年から1973年にかけて連載されたオリジナルの漫画版『デビルマン』の
最終話で描かれた、人類とデーモンの最終戦争の後の世界を描いています。
単なるスピンオフやリメイクではなく、オリジナルの壮絶な物語が幕を閉じた
「その後」の世界を描くことを目的として企画・制作されました。
作品の基本的な概要
物語は、デーモンとの最終戦争により地球文明が崩壊し、人類のほとんどが滅亡した
荒廃した世界を舞台に始まります。
生き残ったごく少数の人間たちは、変わり果てた環境の中で過酷なサバイバル生活を強いられています。
また、敗北したデーモンたちもまた、生き残りや新たな目的を求めて行動しています。
作品は、この絶望的な状況下で、生き残った者たちが直面する新たな脅威や、
過去の戦争の遺産、そして人類とデーモンの存在意義といったテーマを探求していきます。
悪魔人黙示録の物語はどのような内容か？（あらすじ）
悪魔人黙示録の核となる物語は、オリジナル『デビルマン』の最終決戦後の
終末世界における生存競争と、そこに現れる新たな動きを中心に展開します。
荒廃した地上と生存者たち
デーモンと人類の激しい戦いによって、地球は壊滅的な被害を受け、文明は崩壊しています。
都市は廃墟となり、自然環境も変容しています。
生き残った人間は極めて少なく、彼らは小さな集団を形成し、
食料や資源を求めて危険な地上をさまよっています。
デーモンの脅威は去ったかに見えますが、生き残ったデーモンや、
戦争の過程で生まれた異形の存在も存在しており、常に危険と隣り合わせです。
生存者たちの間でも、疑心暗鬼や対立が生じ、人間の尊厳が問われる極限状況が描かれます。
過去の遺産と新たな探求
物語には、オリジナル『デビルマン』に登場した不動明（デビルマン）や
飛鳥了（サタン）といった主要人物たちの存在が影を落とします。
彼らの壮絶な戦いの結果が現在の世界を形作っており、生存者たちは過去の真実や、
なぜこのような結末を迎えたのかを知ろうとします。
また、世界に散らばったデーモンの遺物や、戦争の記録などが物語の鍵となることもあります。
新たな登場人物たちが、これらの謎を追い求めたり、
人類の未来のために行動を起こしたりします。
対立と再構築
生き残った人間とデーモンの間には、依然として根深い憎悪や対立が存在します。
しかし、中には敵意を超えて共存の道を模索する者や、
それぞれの種族の枠を超えた新たな関係性が生まれることも描かれます。
物語は、単なる戦闘だけでなく、生存者たちの心理描写や、
絶望的な状況下での希望の探求に焦点を当てています。
衣谷遊による緻密で迫力のある作画が、終末世界の荒廃感と
登場人物たちの苦悩を鮮烈に描き出しています。
この作品は、オリジナル漫画版の読者にとって、
あの衝撃的なエンディングの後に何が起こったのかを知るための、重要なピースとなっています。
永井豪が生み出した壮大なテーマを、衣谷遊の絵柄で再構築し、
新たな視点からデビルマンの世界を描いた作品と言えます。
悪魔人黙示録はデビルマンのどの位置づけにあるか？
悪魔人黙示録は、『デビルマン』シリーズの中でも、
特に永井豪によるオリジナルの週刊少年マガジン連載版（1972-1973年）の
正当な続編として位置づけられています。
- オリジナル漫画版の直接的な「その後」: 物語は、オリジナル漫画の最終話、デーモン族と人類の最終戦争が決着し、世界が崩壊した直後の時間軸から始まります。飛鳥了（サタン）が不動明（デビルマン）を打ち破った後の、荒廃した地球が舞台となります。
- 『デビルマンレディー』との関連性: 同時期あるいは並行して展開された『デビルマンレディー』もまた、オリジナル『デビルマン』の世界観を継承していますが、その物語の始まりや展開は『悪魔人黙示録』とは異なります。『悪魔人黙示録』は、あくまでオリジナル漫画の結末を直接的に引き継ぐ物語であり、『デビルマンレディー』は別の視点や未来を描いていると解釈されることが多いです。永井豪のデビルマン関連作品は多数存在しますが、『悪魔人黙示録』はオリジナル漫画版のファンが待ち望んだ「あの結末の続き」を描く作品と言えます。
- 舞台設定: 主な舞台は、デーモン戦争によって壊滅的な被害を受けた地球全土です。特定の都市や地域に限定されず、生存者がさまよう荒野や廃墟となった文明の残骸が主な活動の場となります。
したがって、『悪魔人黙示録』を読むことは、オリジナル漫画版の物語を深く理解し、
その壮大な叙事詩の帰結とその後の世界を知る上で非常に重要となります。
他の派生作品やアニメ版などとは異なる、漫画版オリジナルの歴史の延長線上にある作品です。
悪魔人黙示録に登場する主なキャラクターは？
悪魔人黙示録には、オリジナルの記憶を引き継ぐ者や、
終末世界を生きる新たなキャラクターが登場します。
- 不動明（デビルマン）/飛鳥了（サタン）の遺産: オリジナル漫画の主人公であった不動明（デビルマン）と、その宿敵であり親友であった飛鳥了（サタン）は、この物語の時点では直接的には登場しないか、あるいはその存在が世界の状況に大きく影響を与えています。物語は主に、彼らが残した「遺産」や、彼らの戦いの結果として生まれた世界で生きる人々を中心に描かれます。生存者たちは、デビルマンやサタン、そしてデーモン戦争の真実について様々な形で向き合うことになります。
- 生存者たち: 滅亡を免れたごく少数の人間たちです。彼らは小さなグループを形成し、食料や安全な場所を求めて荒野をさまよいます。それぞれの生存者は、戦争で深い傷を負い、人間不信や絶望を抱えています。中には、過去の技術を駆使して生き延びようとする者や、他の生存者を率いるリーダー的な存在もいます。彼らの人間ドラマや、極限状態での倫理観の変化が描かれます。
- 生き残ったデーモンたち: 最終戦争で敗北し、数を減らしたデーモンたちもまた、この世界に存在しています。彼らはかつての栄光を失い、人間と同様に生き残るために行動します。中には、再び人間を支配しようと企む者、あるいは世界の現状を受け入れ、新たな生き方を模索する者もいます。彼らの視点から、デーモン族の現状や考え方が描かれることもあります。
- 新たな異形の存在: デーモン戦争の過程や、地球環境の変化によって生まれた、これまでのデーモンとは異なる異形の存在が登場することもあります。彼らは生存者にとって新たな脅威となります。
この作品のキャラクターは、オリジナル漫画の登場人物に加えて、
荒廃した世界で生まれ育った、あるいは生き残った新たな世代や存在が中心となります。
彼らがどのようにしてこの絶望的な世界を生き抜き、何を見出すのかが物語の大きな焦点となります。
悪魔人黙示録はどのように出版され、全何巻か？
悪魔人黙示録は、日本の出版社である講談社から刊行されました。
- 連載媒体: 漫画雑誌『モーニング』にて連載されていました。モーニングは青年漫画誌であり、より大人向けの、複雑なテーマや描写を扱える媒体であったことが、この作品の性質と合致しています。
- 単行本: 連載終了後、単行本（いわゆるコミックス）として講談社から「モーニングKC」レーベルで発売されました。
- 巻数: 単行本は全3巻で完結しています。
- 出版時期: 連載及び単行本の刊行は、2000年代初頭に行われました（具体的な期間は検索で確認可能ですが、概ね2000年から2003年にかけて連載・刊行されました）。
単行本は、当時のモーニング読者や、オリジナルのデビルマンファンに向けて発売され、
永井豪作品の新たな展開として注目されました。
悪魔人黙示録は他のデビルマン作品とどう違うか？
悪魔人黙示録は、数多く存在する『デビルマン』関連作品の中でも、
いくつかの点で明確な違いを持っています。
- 時間軸と舞台設定:
- オリジナル漫画: デーモン戦争の始まりから終結までを描きます。文明が存在する現代社会（連載当時）から、徐々に終末へと向かいます。
- 悪魔人黙示録: デーモン戦争が既に終結し、人類が敗北し地球が荒廃したその後の世界が舞台です。既に文明は崩壊しており、生存者たちのサバイバルが描かれます。
- 焦点:
- オリジナル漫画: 不動明がデビルマンとなり、人間性とデーモンの狭間で苦悩し、人類のために戦う物語。人類の狂気や差別の問題も描かれます。
- 悪魔人黙示録: 戦争後の生存者たちの視点を中心に描かれます。デビルマンやサタンの物語は「過去の出来事」として扱われ、その遺産が現在にどう影響しているか、そして生き残った者たちが絶望の中で何を求めて生きるかに焦点が置かれます。
- 主要キャラクター:
- オリジナル漫画: 不動明、飛鳥了、牧村美樹とその家族などが中心です。
- 悪魔人黙示録: 終末世界を生きる新たな人間やデーモンの生存者が主要なキャラクターとなります。不動明や飛鳥了は、物語の舞台裏や過去の存在として語られることが多いです。
- 作画:
- オリジナル漫画: 永井豪自身の力強く勢いのあるタッチです。
- 悪魔人黙示録: 衣谷遊による、永井豪とは異なる、より細密で陰影の深いタッチです。荒廃した世界の描写や、異形の存在のディテールが特徴的です。
- 関連作品との比較（例: デビルマンレディー）:
- デビルマンレディー: オリジナル漫画の要素を取り入れつつも、主人公が女性（不動ジュン）であり、現代社会（連載当時）でデーモンと戦う、パラレルワールド的な側面が強い作品です。人間社会がまだ存在している点が大きく異なります。
- 悪魔人黙示録: あくまでオリジナル漫画の最終回に直接的に接続される物語であり、その世界観や結末を最も色濃く受け継いでいます。
このように、悪魔人黙示録はオリジナル漫画の結末という決定的なポイントを起点とし、
「その後」の世界を深く掘り下げた作品であり、
デビルマンサーガ全体の中でも独特かつ重要な位置を占めています。
悪魔人黙示録は現在どのように読めるか？（入手方法）
2024年現在、悪魔人黙示録を読むための主な方法は以下の通りです。
- 紙媒体の単行本:
- 講談社から発売された「モーニングKC」版の単行本（全3巻）を探すのが基本です。
- 新品での入手は難しい場合が多く、古書店やオンラインフリマサイト・オークションサイトで探すのが一般的です。
- 状態や希少性によって価格は変動しますが、比較的入手しやすい部類に入るかもしれません。
- 電子書籍:
- 主要な電子書籍ストア（Kindle、eBookJapan、楽天Koboなど）にて電子書籍版が配信されています。
- 電子書籍であれば、在庫を気にすることなく、PCやスマートフォン、タブレットで手軽に購入し読むことができます。これが最も容易で確実な入手方法と言えるでしょう。
- 図書館:
- 一部の公共図書館に蔵書として置かれている場合があります。お住まいの地域の図書館の蔵書検索で確認してみるのも良いでしょう。
これから読む方にとっては、電子書籍版の利用が最も手軽でおすすめです。
ただし、紙媒体で手元に置いておきたい場合は、古書市場での探索が必要となります。
オリジナル『デビルマン』の衝撃的な物語の続きを知りたいファンにとって、
『悪魔人黙示録』は必読の作品と言えるでしょう。
