【後期高齢者限度額認定証】とは何ですか? なぜ必要なのですか?
後期高齢者医療制度の被保険者の方にとって、医療費の自己負担を軽減するために非常に重要な証明書です。
正式名称は「後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証」と言います。
後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証の役割
この認定証を医療機関の窓口で提示することで、同じ月にかかった医療費の窓口での支払いが、自己負担限度額までで済むようになります。
「限度額」とは?
後期高齢者医療制度では、75歳以上の方(または一定の障害がある65歳以上の方)の医療費の自己負担割合は原則1割(現役並み所得者は3割)ですが、病気やケガで医療費が高額になった場合、家計への負担が大きくなります。
そこで、1ヶ月あたりの医療機関での窓口負担額に上限(自己負担限度額)が設けられています。この上限額は、所得によって区分されています。
「限度額認定証」は、あなたがどの所得区分に属し、自己負担限度額がいくらであるかを証明するものです。
なぜ「後期高齢者限度額認定証」が必要なのですか?
限度額認定証がなくても、1ヶ月の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合、後から申請すれば高額療養費として払い戻しを受けることができます。
しかし、一度多額の医療費を窓口で支払う必要があります。
認定証を事前に取得し、医療機関の窓口で提示することで、その月の医療費の支払いが最初から自己負担限度額までで済むため、一時的な多額の支払いを避けることができます。
特に、入院などで医療費が高額になることが見込まれる場合には、認定証を持っていることのメリットは非常に大きいです。
「後期高齢者限度額認定証」はどうやって取得するのですか? 申請先はどこですか?
この認定証は、申請に基づいて交付されるものです。自動的に送られてくるものではありません。
申請先はどこですか?
お住まいの市区町村の役所(役場)の後期高齢者医療担当窓口に申請します。
広域連合によっては、郵送での申請を受け付けている場合もあります。
申請に必要なものは?
申請時に一般的に必要となるものは以下の通りです。ただし、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
- 後期高齢者医療被保険者証
- 申請者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)
- 被保険者のマイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 印鑑(認印で可。ただし、シャチハタなどのゴム印は不可の場合があります。)
- 委任状(被保険者本人以外が申請する場合)
- 所得状況を確認できる書類(市区町村が所得情報を把握している場合は不要なことが多いですが、念のため確認してください。)
申請手続きの流れ
- お住まいの市区町村の役所(役場)の後期高齢者医療担当窓口に行く。
- 申請書を受け取り、必要事項を記入する。
- 必要な書類を添付して提出する。
- 審査後、郵送または窓口で「後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付される。
申請から交付までにかかる期間は、市区町村によって異なりますが、通常数日から1週間程度です。
「後期高齢者限度額認定証」を使った場合の自己負担限度額はいくらですか? 所得区分について教えてください。
自己負担限度額は、被保険者の方の所得状況によっていくつかの区分に分かれています。
「後期高齢者限度額認定証」は、あなたの所得区分を証明し、窓口での支払いをその区分の限度額までとするためのものです。
所得区分による自己負担限度額
以下の表は一般的な所得区分と自己負担限度額の目安です。(令和4年10月からの見直し後の情報に基づいています。詳細は各広域連合のホームページなどでご確認ください。)
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現役並み所得者
課税所得が145万円以上の被保険者の方(同一世帯に被保険者が複数いる場合は、その方の合計課税所得)ただし、年収が一定額未満(単身世帯の場合200万円未満、後期高齢者制度の被保険者が複数いる世帯の場合合計320万円未満)の場合は「一般所得者」の区分になります。
- 区分Ⅲ(課税所得690万円以上): 月額 252,600円 +(医療費-842,000円)×1%
- 区分Ⅱ(課税所得380万円以上690万円未満): 月額 167,400円 +(医療費-558,000円)×1%
- 区分Ⅰ(課税所得145万円以上380万円未満): 月額 80,100円 +(医療費-267,000円)×1%
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一般所得者
上記「現役並み所得者」のいずれにも該当しない方。
- 月額 18,000円
※ただし、年間(8月1日~翌年7月31日)の自己負担額の合計上限は144,000円です。
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低所得者Ⅱ
住民税非課税世帯の方で、「低所得者Ⅰ」に該当しない方。
- 入院時食事療養費などの自己負担額が減額されることがあります。
- 月額 8,000円
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低所得者Ⅰ
住民税非課税世帯で、世帯全員の所得が0円となる方。(年金収入80万円以下など、所得控除を差し引くと所得が0円になる場合も含む)
- 入院時食事療養費などの自己負担額がさらに減額されることがあります。
- 月額 8,000円
【重要】自己負担限度額は外来・入院別、世帯合算の計算があります。
上記で示した月額限度額は、外来のみの場合の上限額と、世帯全体の医療費を合算して適用される上限額(多数回該当含む)が異なる場合があります。特に低所得者の方の入院時の食事代や居住費の減額を受けるためには、「限度額適用・標準負担額減額認定証」の提示が必須です。
多数回該当(たしかいがいとう)とは?
過去12ヶ月以内に、すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目からは自己負担限度額がさらに引き下げられる制度です。
- 現役並み所得者 区分Ⅲ・Ⅱ・Ⅰ: 月額 44,400円
- 一般所得者: (多数回該当制度はありません)
- 低所得者Ⅱ・Ⅰ: (多数回該当制度はありません)
この多数回該当になった場合も、限度額認定証を提示していれば、窓口での支払いが多数回該当の限度額までになります。
「後期高齢者限度額認定証」はどうやって使うのですか?
認定証の使い方は非常にシンプルです。
医療機関の窓口での提示
病院や診療所、薬局の窓口で、後期高齢者医療被保険者証と一緒に、「後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証」を提示してください。
これだけで、その月の医療費の窓口支払いが自己負担限度額までになります。
提示し忘れたら?
もし認定証を提示せずに、窓口で自己負担限度額を超えた金額を支払ってしまった場合でも、ご安心ください。
後から申請することで、高額療養費として払い戻しを受けることができます。
払い戻しの申請先は、お住まいの市区町村の役所(役場)の後期高齢者医療担当窓口です。ただし、申請手続きや審査に時間がかかるため、一時的に多額の費用を立て替える必要があります。
やはり、事前に認定証を取得し、窓口で提示するのが最もスムーズです。
いつから有効ですか?
認定証は、原則として申請した月の1日から有効となります。
月の途中で申請した場合でも、その月の初めからの医療費に適用されます。
ただし、遡って適用されるのは申請月の1日までです。過去の月の医療費に遡って適用することはできません。(一部例外あり、要確認)
その他、「後期高齢者限度額認定証」について知っておきたいことは?
有効期限について
後期高齢者限度額認定証には有効期限があります。
一般的には、毎年7月31日までとなっています。
継続して認定証が必要な場合は、有効期限が切れる前に更新手続きが必要です。
多くの市区町村では、更新対象者に対し事前に案内を送付しますが、案内が届かない場合や手続きが必要か不明な場合は、お住まいの市区町村にご確認ください。
所得状況が変わったら?
年度の途中で所得状況が大きく変わるなど、適用される所得区分に変更があった場合は、速やかに市区町村に届け出る必要があります。
区分が変更された場合、新しい認定証が交付されます。
長期入院の場合
長期入院される場合、入院が月をまたぐことがよくあります。
高額療養費は月ごとに計算されます。したがって、月をまたぐ入院の場合、それぞれの月で自己負担限度額までの支払いが必要になります。
認定証があれば、各月の窓口支払いがその月の限度額までで済むため、長期入院の際にも大変役立ちます。
また、低所得者の方の場合、入院中の食事代や居住費(差額ベッド代等ではない)についても減額制度があり、認定証(標準負担額減額認定証の部分)を提示することで、これらの負担も軽減されます。
高額介護サービス費との合算について
医療費と介護サービス費の両方が高額になった場合、1年間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)の自己負担額を合算し、一定の限度額(高額医療合算介護サービス費の限度額)を超えた分については、後から支給を受けることができる制度があります。
この制度の計算においても、所得区分によって合算の限度額が異なります。
「後期高齢者限度額認定証」に記載されている所得区分は、この高額医療合算介護サービス費の計算にも影響します。
後期高齢者限度額認定証は、医療費負担を軽減するための重要な制度です。ご自身の所得状況を確認し、必要であれば市区町村に申請手続きを行いましょう。ご不明な点があれば、遠慮なくお住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口にご相談ください。