日本の医療保険制度の一つである後期高齢者医療制度。この制度に加入されている方が納めるのが「後期高齢者医療保険料」です。一体どのような人が対象となり、保険料はどのように決まり、どのように納めるのでしょうか。ここでは、後期高齢者医療保険料に関する具体的な疑問について詳しく解説します。

後期高齢者医療保険料とは何ですか?

後期高齢者医療保険料とは、後期高齢者医療制度に加入している方が、ご自身の医療費や制度を支えるために納める保険料です。この制度は、75歳以上の全ての方(障害認定を受けた場合は65歳以上)を対象とした独立した医療保険制度です。

後期高齢者医療制度の運営は、原則として都道府県単位で設置されている後期高齢者医療広域連合が行っています。保険料は、この広域連合によって決定され、市区町村が徴収業務を行っています。

後期高齢者医療保険料はなぜ支払う必要がありますか?

後期高齢者医療制度における医療費の約9割は、現役世代からの支援金(国、都道府県、市区町村の公費、他の医療保険制度からの支援金)と、後期高齢者医療制度に加入している方々が納める保険料で賄われています。

後期高齢者医療保険料は、この医療費を賄うための重要な財源の一つです。加入者一人ひとりが保険料を納めることで、お互いの医療費を支え合う相互扶助の仕組みとなっています。

誰が後期高齢者医療制度の加入者となりますか?

以下のいずれかに該当する方が、後期高齢者医療制度の加入者となります。

  • 75歳以上の方
  • 65歳以上75歳未満で、一定の障害の状態にあると広域連合の認定を受けた方

これらの対象となる方は、それまで加入していた健康保険(国民健康保険、被用者保険など)から脱退し、自動的に後期高齢者医療制度に加入することになります。保険料の支払い義務も、原則として加入した月から発生します。

後期高齢者医療保険料はどのように計算されますか?

後期高齢者医療保険料は、公平性の観点から、加入者全員が負担する「均等割額」と、前年の所得に応じて負担する「所得割額」の合計額として、個人単位で計算されます。

年間保険料額 = 均等割額 + 所得割額

均等割額とは

後期高齢者医療制度の被保険者一人ひとりに等しく負担していただく保険料です。都道府県内の後期高齢者医療広域連合が決定した、年度ごとの定額です。

所得割額とは

被保険者ご本人の前年の所得に応じて計算される保険料です。計算の基礎となるのは、前年の総所得金額等から基礎控除額(現在は原則48万円)を差し引いた「賦課のもととなる所得金額」です。この金額に、広域連合が定めた所得割率を乗じて算出されます。

所得割額 = (前年の総所得金額等 - 基礎控除額) × 所得割率

広域連合によって、均等割額や所得割率は異なりますが、法律で定められた範囲内で設定されます。また、年間保険料には上限額(賦課限度額)が設けられています。

後期高齢者医療保険料には軽減措置がありますか?

はい、所得が低い方などの負担を軽減するための措置があります。主に以下の2種類があります。

均等割額の軽減

世帯主と後期高齢者医療制度の被保険者全員の総所得金額等の合計が、国の定める基準額以下となる世帯は、均等割額が軽減されます。所得水準に応じて、例えば7割軽減、5割軽減、2割軽減といった段階が設けられています。これは申請の必要はなく、所得情報に基づいて自動的に判定され適用されます。

被用者保険等の被扶養者だった方の軽減

後期高齢者医療制度に加入する直前まで、会社の健康保険や共済組合などの被用者保険の被扶養者だった方(国民健康保険の方を除く)は、所得割額はかからず、均等割額が加入から一定期間(例えば最初の2年間)軽減されます(例:5割軽減)。これも自動的に適用されることが多いです。

具体的な軽減基準や軽減率は、お住まいの広域連合によって異なる場合があります。

後期高齢者医療保険料はどのように支払いますか? (納付方法)

保険料の主な納付方法は以下の2通りです。

  1. 特別徴収(年金からの天引き)
    • 原則として、年金受給額が年額18万円以上であり、後期高齢者医療保険料と介護保険料を合わせた金額が年金額の2分の1を超えない方が対象となります。
    • 対象となる方の保険料は、年6回の年金支給時に自動的に年金から差し引かれます(偶数月)。
  2. 普通徴収(納付書または口座振替)
    • 特別徴収の対象とならない方(年金受給額が少ない方、年度の途中で75歳になった方、他の保険から切り替わった方、収入などにより年金天引きの対象から外れた方など)は、普通徴収となります。
    • 市区町村から送付される納付書を使って、金融機関やコンビニエンスストアなどで支払います。
    • 普通徴収の場合、口座振替(自動引き落とし)を利用することも可能です。口座振替を希望する場合は、別途手続きが必要となります。
    • 特別徴収の対象となる方でも、申し出により口座振替に変更できる場合があります(手続きは市区町村によって異なります)。

後期高齢者医療保険料はいつ支払いますか? (納付時期)

納付方法によって支払いの時期が異なります。

  • 特別徴収の場合: 偶数月(4月、6月、8月、10月、12月、2月)の年金支給日に、それぞれ2ヶ月分の保険料が天引きされます。
  • 普通徴収の場合: 年間保険料を通常8回(6月から翌年3月)に分けて納付します。具体的な納付回数や各期の納付額、納期限は、市区町村から送付される納付書や保険料額決定通知書に記載されています。

年度の途中で加入した場合や、所得更正などにより年度途中で保険料額が変更になった場合は、その後の納期で調整されます。

後期高齢者医療保険料額はどのように通知されますか?

原則として、毎年1回、広域連合またはお住まいの市区町村から「後期高齢者医療保険料額決定通知書」が送付されます。これは通常、新しい年度の保険料額が確定する6月頃に送られます。

この通知書には、年間の保険料額、その内訳(均等割額、所得割額)、計算のもととなった所得、適用されている軽減措置、そして今後の納付方法と各納期の納付額などが記載されています。

年度の途中で被保険者の資格を取得した場合や、所得変更などで保険料額が変わった場合も、その都度変更通知書が送付されます。

保険料を滞納するとどうなりますか?

保険料を納期限までに納めない場合は、滞納となります。滞納すると、以下のような措置が取られることがあります。

  1. 納期限後には督促状が送付されます。
  2. 督促状が送付されても納付がない場合、延滞金が加算されることがあります。
  3. さらに滞納が続くと、通常の保険証(被保険者証)の代わりに、医療機関で受診した際に医療費の全額を一時的に自己負担しなければならない「被保険者資格証明書」が交付される場合があります。資格証明書で受診した場合でも、後日申請すれば、保険給付分の払い戻しを受けることは可能です。
  4. 悪質な滞納の場合や、特別な事情がないにも関わらず長期にわたり滞納が続いた場合、財産(預貯金、給与、不動産など)の差し押さえなどの滞納処分が行われることがあります。

保険料の支払いが困難な場合は、放置せずに、お住まいの市区町村の担当窓口に早めに相談することが重要です。分納の相談や、状況に応じた支援制度について案内を受けられる場合があります。

後期高齢者医療保険料は、高齢期の医療を支えるための大切な財源です。ご自身の保険料について不明な点がある場合は、市区町村の担当窓口や後期高齢者医療広域連合にお問い合わせください。


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