太田美術館とは?
太田美術館(おおたびじゅつかん)は、東京都渋谷区にある私立の美術館です。特に江戸時代の浮世絵(うきよえ)を中心とした日本美術を専門に収蔵・展示しています。
五代太田清藏氏(1893-1977)が長年にわたり収集した約14,000点に及ぶ浮世絵コレクションを公開するために、1980年に設立されました。
収蔵品の特徴:なぜ浮世絵専門なのか
太田美術館の最大の特徴は、その収蔵品のほぼ全てが浮世絵および関連作品である点です。肉筆画から木版画まで、初期から末期に至る浮世絵の流れを網羅しています。
葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった有名な絵師の代表作はもちろんのこと、あまり知られていない絵師や、版元の違い、摺りの違いなど、浮世絵研究にとっても非常に貴重なコレクションを含んでいます。
これは、創設者である太田清藏氏が、日本独自の美である浮世絵の散逸を憂え、体系的に収集・保存し、後世に伝えたいという強い願いを持っていたためです。
太田美術館はどこにある?アクセス方法は?
太田美術館は、東京の主要なターミナル駅である渋谷駅の近くに位置しています。
詳細な所在地
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1丁目10-10
電車でのアクセス
最寄駅はJR・京王線・東急線・東京メトロ各線「渋谷駅」です。
駅からのアクセスは以下の通りです:
- 渋谷駅のハチ公改札を出ます。
- 駅前のスクランブル交差点を渡り、「渋谷センター街」へは入らず、109MEN’S(現在のMAGNET by SHIBUYA109)の左手の道(文化村通り)を進みます。
- しばらく直進し、東急百貨店本店を過ぎて、大きな通り(旧山手通り方面)に出る手前の左手にあります。
- 渋谷駅からは徒歩約5分〜10分です。
または、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前〈原宿〉駅」からもアクセス可能ですが、渋谷駅からのアクセスが一般的で分かりやすいでしょう。明治神宮前駅からは徒歩約7分〜10分です。
太田美術館の入館料はいくら?
太田美術館の入館料は、開催されている企画展によって異なります。これは、展示される作品の希少性や内容によって価値が変わるためです。
一般的な入館料は、大人料金で概ね700円から1,200円程度ですが、特別な大規模展などではこれを超える場合もあります。
訪問前に、必ず公式サイトで現在の企画展の入館料をご確認ください。
割引制度
割引制度もいくつか用意されています。
- 高校・大学生:大人料金より安価な設定があります。
- 中学生以下:基本的に無料です。
- 障害者手帳をお持ちの方:本人および付き添いの方1名が無料となる場合があります(要手帳提示)。
- 団体割引:20名以上の団体の場合に適用されることがあります。
これらの割引も、企画展によって詳細が異なる場合があるため、詳細は公式サイトまたは美術館に直接お問い合わせいただくことをお勧めします。
太田美術館の開館時間は?休館日はいつ?
太田美術館を訪れる際には、開館時間と休館日を事前に確認することが非常に重要です。特に休館日は変動する場合があります。
開館時間
一般的な開館時間は10:30から17:30までです。
ただし、入館は閉館時間の30分前までとなります(通常17:00まで)。
これはあくまで一般的な時間であり、臨時に変更される可能性もゼロではありませんので、公式サイトでの確認が最も確実です。
休館日
主な休館日は以下の通りです。
- 毎週月曜日
- 年末年始
- 展示替え期間
特に注意が必要なのは「展示替え期間」です。太田美術館では、収蔵品の保護のため、また多くの作品を紹介するため、企画展が約1ヶ月単位で頻繁に入れ替わります。そのため、企画展の終了後から次の企画展の開始までの間に数日間、休館日となることがあります。
必ず訪問予定日の展示内容と開館スケジュールを公式サイトでチェックしてからお出かけください。「せっかく行ったのに閉まっていた」ということのないようにしましょう。
太田美術館の見どころ・どうやって楽しむ?
太田美術館は、その規模こそ大きくありませんが、浮世絵の魅力を存分に味わえる場所です。
企画展を中心とした展示
前述の通り、太田美術館は常設展を持たず、年間を通じて様々なテーマの企画展を開催しています。
「役者絵」「美人画」「風景画」といったジャンル別、「歌麿対豊国」「北斎漫画の世界」といった絵師や作品シリーズに焦点を当てたもの、「江戸の食文化」「夏の風物詩」といった風俗をテーマにしたものなど、毎回趣向を凝らした展示が行われます。
これにより、いつ訪れても新鮮な発見があり、何度でも楽しむことができます。
訪れる前に公式サイトで現在の企画展のテーマを確認し、興味のある内容かをチェックするのが、最も満足度高く楽しむコツです。
作品との距離が近い展示空間
美術館自体が比較的小規模であるため、展示室はとても落ち着いた雰囲気です。
作品との距離が近く、ガラスケース越しではありますが、浮世絵の細部までじっくりと鑑賞することができます。
肉筆画であれば絵師の筆遣い、木版画であれば彫師や摺師の高度な技術、当時の色彩などを間近で感じ取ることができます。
学芸員による丁寧な解説
展示室には、それぞれの作品やテーマに関する詳細な解説パネルが設置されています。浮世絵や江戸時代の背景知識がなくても理解できるよう、分かりやすく書かれています。
また、学芸員の方々による展示解説会などが開催されることもあります(スケジュールは公式サイトをご確認ください)。
ミュージアムショップ
鑑賞後は、併設のミュージアムショップに立ち寄るのも楽しみの一つです。
展示されている作品や関連テーマのポストカード、クリアファイル、図録などが販売されています。
浮世絵をモチーフにしたオリジナルのグッズもあり、旅の思い出やお土産にぴったりです。
鑑賞の際の注意点
浮世絵は光に弱いため、展示室内の照明はやや暗めに設定されています。また、作品保護のため、展示室内での写真撮影は一切禁止されています。
静かな環境で作品と向き合うため、他の鑑賞者への配慮も忘れずに、落ち着いて鑑賞しましょう。
浮世絵は、江戸時代の庶民の暮らしや流行、芝居、風景などを写し取った「時代の鏡」とも言える芸術です。太田美術館で、当時の人々の息遣いや美意識に触れてみてください。