大相撲番付予想とは?次の場所の力士たちの位置を推理する楽しみ
大相撲の場所(本場所)が終わると、次にファンが心待ちにするものの一つに「番付(ばんづけ)」の発表があります。番付とは、次の場所に出場する力士たちの階級と東西の配置を定めた、いわば相撲界の成績表であり、ランキングリストです。横綱を筆頭に、大関、関脇、小結といった幕内力士、そして十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口と続きます。
【大相撲番付予想】とは、この公式発表に先立って、相撲ファンや専門家、メディアなどが「次の番付はどうなるか?」を推測し、自分なりに番付を作成してみる活動のことです。前場所の結果をもとに、どの力士がどれだけ上がるか、下がるか、新しく幕内や十両に昇進するか、はたまた休場した力士の番付はどうなるかなど、様々な要素を考慮して未来の番付を予想します。これは、公式発表までのおよそ1ヶ月間、ファンが相撲を楽しむための知的ゲームであり、深い知識が試される奥深い趣味の一つと言えます。
なぜ大相撲の番付を予想するのか?ファン心理と楽しみ
なぜ多くのファンは、わざわざ公式発表前に番付予想を行うのでしょうか。その理由はいくつかあります。
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知的探求心とゲーム性:
相撲のルール、力士の成績、過去の番付変動の傾向などを深く理解している人ほど、精度の高い予想ができます。自分の知識や分析力がどこまで通用するかを試す、非常にやりがいのある知的ゲームです。パズルのピースを埋めるように、前場所の結果から次々と力士たちの位置を推測していく過程は、独特の面白さがあります。 -
相撲への没入感と期待感の醸成:
番付予想は、前場所の余韻に浸りつつ、早くも次の場所への期待感を高める行為です。「あの力士はどれくらい上がるだろうか」「怪我から復帰する力士はどこまで番付が落ちるだろうか」などと考えを巡らせることで、空白期間も相撲への関心を持続させることができます。 -
コミュニティ活動:
多くのファンが自分の予想をブログやSNS、フォーラムなどで公開し、他のファンの予想と比較したり、意見交換したりします。「なぜあの力士をその位置に置いたのか?」「この力士の扱いは難しいね」といった議論を通じて、他の相撲ファンとの繋がりを感じられます。 -
公式発表時の答え合わせ:
自分の予想と実際の公式番付を見比べて、どこが合っていて、どこが違ったのかを確認するのも大きな楽しみです。予想が的中した時の喜びはもちろん、外れた場合も「なぜこの力士は予想より番付が低かった(高かった)のだろう?」と考えることで、番付編成の傾向や相撲協会の考え方への理解が深まります。
大相撲番付予想はどこで見られるのか?情報源の多様性
自分で予想を作るのも楽しいですが、「他の人の予想を見てみたい」「専門家の意見を参考にしたい」という方も多いでしょう。大相撲の番付予想は、様々な場所で公開されています。
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個人の相撲ファンブログ・ウェブサイト:
熱心な相撲ファンの中には、場所が終わるたびに詳細な番付予想を公開している方が多くいます。長年予想を行っている方は、独自の分析方法や過去のデータに基づいて予想しているため、非常に参考になります。 -
オンラインフォーラム・掲示板:
相撲に関するオンラインコミュニティでは、多くの参加者が自分の予想を投稿し、活発な議論が行われます。様々な視点からの予想が集まるため、自分の予想と比較したり、異なる意見を知ることができます。 -
SNS (Twitterなど):
Twitterでは、相撲ファンや相撲記者が番付予想の一部や、特定の力士に関する予想のヒントを発信していることがあります。リアルタイムの情報交換も行われやすい場所です。
* YouTubeチャンネル:
相撲関連の動画を配信しているチャンネルの中には、番付予想を動画で解説しているものもあります。視覚的に分かりやすく、予想の根拠なども丁寧に説明されていることが多いです。 -
一部の相撲専門媒体・コラム:
数は多くありませんが、相撲専門の雑誌やウェブサイト、スポーツ新聞のコラムなどで、記者が番付予想やその注目点について触れることがあります。長年の取材経験に基づく視点は貴重です。
ただし、これらの予想はあくまで非公式なものであり、情報源によって精度や分析の深さは異なります。複数の情報源を参考にしたり、自分で分析する際の補助として活用するのが良いでしょう。公式の番付発表は、日本相撲協会からのみ行われます。
どれくらいの予想が存在するのか?百花繚乱の予測世界
「大相撲番付予想」という活動自体は、公式なものではありません。そのため、「公式に何件の予想が存在する」といった正確な数を把握することは不可能です。しかし、相撲ファンであれば誰でも自由に予想を作成・公開できるため、文字通り無数の予想が存在すると言えます。
- インターネット上で公開されている、ある程度まとまった形で行われている予想だけでも、数十、数百といった単位で見られるでしょう。
- SNSなどで個人的に「この力士はこれくらいかな?」と呟いているレベルまで含めれば、参加者は tens of thousands or more に及ぶ可能性もあります。
- 予想の形式も様々で、幕内力士の番付を全て詳細に予想するものから、特定の力士の昇進・降格だけをピンポイントで予想するものまであります。
このように、大相撲の番付予想は、個人が気軽に行えるものから、非常に緻密な分析に基づいた本格的なものまで、様々なレベルと形式で存在しています。それぞれの予想を見比べるのもまた、楽しみの一つです。
どのように、どうやって大相撲の番付を予想するのか?その複雑なプロセス
大相撲の番付編成は、日本相撲協会に設置された「番付編成会議」によって行われます。その正確な基準は全て公開されているわけではありませんが、過去の番付変動の傾向から、予想を立てる上で重要な要素がいくつかあります。多くの予想家は、これらの要素を組み合わせて番付を組み上げていきます。
番付予想の主要な要素
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前場所の成績(勝ち越し/負け越し):
これは最も重要かつ基本的な要素です。原則として、勝ち越した力士は番付が上がり、負け越した力士は番付が下がります。勝ち星と負け星の差が大きいほど、番付の変動幅も大きくなる傾向があります。
- 例:8勝7敗(勝ち越し)なら少し上がる。10勝5敗(大きく勝ち越し)なら大きく上がる。
- 例:7勝8敗(負け越し)なら少し下がる。5勝10敗(大きく負け越し)なら大きく下がる。
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現在の番付(階級と位置):
同じ成績でも、番付のどの位置にいるかによって変動幅は変わります。上位に行けば行くほど、一つ番付を上げるのが難しくなり、逆に一つ下がる影響が大きくなる傾向があります。
- 幕内上位(特に三役:関脇・小結)での勝ち越しは昇進に大きく影響します。
- 幕尻(幕内の最下位)付近での勝ち越しは、大きく番付を上げる可能性があります。
- 十両下位や幕下上位での勝ち越しは、十両や幕内昇進に関わる重要な要素です。
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周囲の力士の成績:
番付は「番付面」と呼ばれる紙面上の連続したランキングです。ある力士の番付は、その力士自身の成績だけでなく、番付のすぐ近くにいる力士たちの成績にも影響されます。
- 自分の成績が良くても、周りの力士も皆好成績だと、思ったほど番付が上がらないことがあります。
- 自分の成績が悪くても、周りの力士が皆大敗していると、予想より番付の下がり幅が小さくなることがあります。
これは、上がれる枠、下がる枠が限られているため、相対的な位置関係が重要になるからです。
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休場(怪我など):
本場所を全休(全試合欠場)した力士は、原則として番付が大きく下がります。場所の途中で休場(途中休場)した場合も、残りの取組を不戦敗と見なされるため、負け越しとなり番付は下がります。
- 休場による番付下落幅は非常に大きく、特に幕内や十両の力士にとっては階級陥落の可能性が高まります。
- 横綱や大関には特別な地位がありますが、休場が続けばやはり番付は変動したり、引退につながったりします。
怪我からの復帰力士がどこに番付されるかは、予想の難しいポイントの一つです。
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特別なケース:
優勝決定戦での敗退(本割で同点となり優勝を争う場合)や、特定の力士の引退、新入幕・新十両などの新しい力士の追加なども、番付編成に影響を与えます。
具体的な予想の組み立て方(一例)
多くの予想家は、以下の手順で番付を組み立てていくことが多いようです。
まず、確定的な要素から配置します。
- 横綱・大関の確認: 横綱や大関は成績による変動が少ないため、まずは彼らの位置を決めます(休場による変動や引退がない限り)。
- 三役(関脇・小結)の候補洗い出し: 幕内上位での好成績者(特に二桁勝利など)や、関脇・小結からの残留者を洗い出します。過去の昇進基準(例:直近三場所合計33勝など、あくまで目安)を参考にします。
- 幕内↔︎十両の入れ替え: 十両優勝者や好成績者の中から、幕内に昇進する力士を選びます。同時に、幕内下位で大きく負け越した力士の中から、十両に陥落する力士を選びます。昇降格枠は通常決まっています(例:入れ替えは東西2人ずつの計4人、といった目安)。
- 十両↔︎幕下の入れ替え: 同様に、幕下上位の好成績者から十両に昇進する力士、十両下位で大きく負け越した力士から幕下に陥落する力士を選びます。
- 力士の配置と調整:
- 勝ち越した力士を上へ、負け越した力士を下へ仮置きします。
- 勝ち越し幅、負け越し幅、現在の番付を考慮して、大まかな移動距離を決めます。
- 周囲の力士との兼ね合いを見ながら、位置を微調整していきます。例えば、自分より下だった力士が大きく勝ち越して自分を追い越す場合、自分の上がり幅は制限されるかもしれません。
- 休場した力士を、過去の傾向を参考にしながら大きく番付を下げて配置します。
- 新入幕や新十両の力士が、番付のどのあたりに配置されるかを推測します。
- 全体のバランス調整: 東西の力士のバランス、各段の定員(幕内42人、十両28人など)に合うように最終調整を行います。特に幕内下位から十両上位にかけては、少しの成績差や周囲の成績で番付が大きく変動しやすい激戦区であり、予想が最も難しい部分の一つです。
このプロセスを何度も繰り返し、矛盾がなく、かつ過去の番付変動の傾向に沿った予想番付を完成させていきます。非常に根気のいる作業ですが、相撲への深い理解がなければできない、やりがいのある作業です。
このように、番付予想は単に成績順に並べ替えるのではなく、様々な複雑な要素が絡み合った、非常に奥深い分析に基づいています。だからこそ、ファンは熱中し、公式発表を楽しみに待つのです。